海南島
もっと知りたい海南島!

知って楽しむハイナン島 2

列車だって船に乗る

2013年7月、海南省・海口と黒竜江省・ハルビンを結ぶ直通列車が開通し、中国最南の省都“椰城”海口と中国最北の省都“冰城”ハルビンが、乗り換えなしで行き来できるようになりました。

運行距離4458km、黒竜江、吉林、遼寧、河北、山東、河南、安徽、湖北、江西、広東、海南の11個省52駅に停車。海口発K1122/K1123が15:40発4日目の08:46ハルビン着(65時間6分)、ハルビン発K1124/1121が17:35発4日目の11:17海口着(65時間42分)と、広州・ラサ間を走るT264/T265の4980kmには及ばないものの、長距離列車の多い中国内でも有数の走行距離。ちなみに広州・ラサ間は55時間1分(2013年現在)。乗車時間の差は列車の種類の差で、海口・ハルビン線は“K”の車番号を持つ「快速旅客列車(新空快速)」、広州・ラサ線は“T”の車番号を持つ「特別快速旅客列車(特快)」で最高時速などが違うのです。

海南省の鉄道玄関口・海口駅 海南省の鉄道玄関口・海口駅

海南省に乗り入れている長距離列車は、2013年7月現在、三亜・北京西T202(T201)、海口・上海南K512(K511)、海口・長沙K408(K407)、海口・西安K1168/1169(K1170/K1167)、海口・成都東K486/K487(K488/K485)があります。
海南発の時刻表を見ると、海口駅の次の停車駅はどの列車も広東省・徐聞、この間の所要時間は約3時間、距離193 km。T202の三亜・海口間の所要時間が3時間ちょっとで距離363 km、‥あれ?海口・徐聞って‥時間かかり過ぎ?平均時速60 kmちょっとです。改めて地図を見てみると不思議なことが‥お気づきになったでしょうか?
徐聞は広東省の南端・雷州半島の県。海南省から見ると瓊州海峡を挟んだ北側にあたります。そう、“海を挟んでいる”のですが‥この間はトンネルも橋もありません。では、どのようにして列車が行き来しているのでしょう?

答えは“船に乗って海峡を渡っている”です。船倉にレールが敷かれ、列車をそのまま積み込むことのできる「鉄道連絡船」が運航中。航路正式名称は「粤海鉄路輪渡」、船の名前は「粤海鉄」号。
海口駅は西海岸の西の端・天尾角という岬に位置し、港がすぐそば、列車は4両毎に4つに分けて船に搭載されます。この積み込み作業に約1時間、海上移動が約50分、そして対岸はすぐに徐聞駅ではなく、雷州半島突端に「海安南駅」という積み込みと積み下ろし用の駅があり、ここでの作業が約1時間、それから発車して約10分で徐聞到着。トータル約3時間となります。

空から見た海口駅と「粤海鉄」号 空から見た海口駅と「粤海鉄」号

「粤海鉄」号は普通の客船でもあるのですが、列車利用者は基本的に列車から出ることができません。海上においても列車に乗ったままです。海の見えない船旅とはなりますが、「列車に乗っているのに救命胴衣の説明がある」「自身が乗っている列車に、乗ったまま並ぶことが出来る」「列車は動いていないのに確実に移動している」「列車と船に同時に乗れる」などのちょっと不思議(?)な体験が出来ます。
「鉄道連絡船」は、現在日本では貨物専用も含め運航されていません。世界でも旅客を乗せる航路は少なく、イタリア本土とシチリア島間のメッシーナ海峡を渡る航路、ドイツとデンマーク間のバルト海を渡る航路など限られています。中国国内では遼寧省・大連と山東省・煙台間に「渤海鉄路輪渡」がありますが、こちらは貨物専用での運航です。

海南島と中国本土間は、澄邁県・道倫角(海南側)と徐聞県・灯楼角(本土側)をつなぐ橋「瓊州海峡跨海大橋」が架かる計画があり、こちらが完成すると、この航路は廃止となることでしょう。2020年開通という決して遠くはない計画ですので、ご興味のある方はお早めにご乗車(乗船)ください。


このページのトップへ