定安県中北部の平原にぽつんと佇む、たおやかな姿の“文筆峰”。ここは海南島屈指の吉祥地、つまり“良い場所”。日本では比較的なじみが薄い「道教」の聖地です。
道教の修行場、養生地であり、南宗道教の五祖の一人、実質的な祖とも言われる白玉蟾を祀る「玉蟾宮」をはじめ、数多くの古祖や神々を祀る信仰の場ですが、現在は「海南文筆峰盤古文化旅遊区」となっており、全山“文化アミューズメント”としてどなたでも訪れることのできる“聖地”です。
元は“尖嶺”と呼ばれていたのですが、唐代に中原からの将軍達に再発見され、随従の風水士の「龍首亀背」の風水宝地(風水的に良い地)であるとの判断から皇家の直轄地となり「李家嶺」と名付けられました。後の宋代に、海南瓊山生まれの道士・白玉蟾(1194~1229年)が各地を遍歴した後、この地を隠遁修行の場所とさだめ、ついには登仙(仙人になること)したといわれています。
皇家苑になる以前から、原住の黎族にとっても“良い場所”とされていたようです。中国古代創世神話の創世神である“盤古”の鼻にあたる場所ともいわれます。100メートルほどの標高ながら、時に雲のかかる幽玄な姿だけでなく、複雑な地形と独特の地質を持ち、精気と霊気を元来備える風水地なのだそう。
前述したように、現在は「海南文筆峰盤古文化旅遊区」として、どなたでも訪れることができます。自然豊かな園内には、南宋風建築の宮や施設が点在。玉蟾宮を中心に古祖を祀る宮の他、縁結びの神様である“月下老人”を祀る「月老殿」、文章を司る“魁星”と学問の神様である“文昌帝君”を兼祀る「文昌閣」、子供と女性を加護する“碧霞元君”を祀る「碧霞殿」、平安祈願の「観音殿」、財運祈願の「財神殿」、健康祈願の「薬王殿」など願いきれないほどの神様が祀られています。
また、白玉蟾は書・画・詩いずれにも秀でた人物であったため、書画継承の為の施設や、海南の特産物の一つである“沈香”をテーマにした「文筆峰沈香文化苑」も併設しており、道教養生、自然、観光、文化研究など多方面から楽しめる“文化アミューズメント”といえるでしょう。
海口市街から車利用で45分ほど、東高速道路(G98)の居丁出口が最寄りです。定安のバスターミナルからは直通バスが1日3本(8:00、12:00、17:20)出ています。車利用ならBOAOから1時間ほど。
海南文筆峰盤古文化旅遊区公式サイト;http://www.wenbifeng.com/jp/index.htm